三番瀬の保全と再生
―生き物の多様性と海を活かした街づくり―
“三番瀬”は江戸川の前面に広がる広大な干潟の一部でした。高度成長期、東京湾の海岸線はどんどん埋め立てられ①工場地帯②新興住宅地③ディズニーランドになりました。
最後に残ったのが、今ある1800haの干潟、浅海域としての“SANBANZE”です。船橋海浜公園の前に広がり潮干狩り、釣り、ウインドサ-フィンで親しまれています。
干潟としての浄化能力は約13万人分の下水処理場と同じ働きがあるとのこと。
また、魚類101種、鳥類89種、底生生物155種、プランクトン302種と多くの生き物が確認され、魚や鳥たちの貴重な生息域であると指摘されています。
それゆえラムサ-ル条約に登録して、この貴重な東京湾最奥部に位置する三番瀬を守ることを、多くの市民が願っています。1000万人以上の人々が暮らす大都会のそばにこんな素晴らしい自然が残っているなんてと、世界中から保全の動向が注目されています。
2001年堂本知事が三番瀬の埋め立て計画(101ha)を白紙撤回しました。
円卓会議・再生会議に多くの住民・事業者・漁師が参加し意見を交換させました。大きな方向性として“保全と再生”が示されましたが、なかなかラムサ-ル条約登録が実現できずにいます。
三番瀬はアサリ・スズキ・イワシ・ボラ・マハゼ・アサクサノリが生息し魚のゆりかごとも言われています。又ハマシギ・スズカモ・コアジサシ・セイタカシギなど四季折々の渡り鳥の中継地となっているので生態系ネットワ-クの重要な位置にあり現在名古屋市で行われている生物多様性条約締約国会議COP10が目指す生物多様性の確保のためにもその保全の仕方が問われています。
渡り鳥の中継地と、湿地帯の自然環境保全のためのラムサ-ル条約には釧路湿原や谷津干潟が登録されています。谷津干潟よりも広く深い関連性をもつ三番瀬は登録条件を整えています。あとは“住民の同意”が必要なだけです。
ところが、船橋漁協は登録賛成ですが、市川市域の2漁協は反対、猫実川河口の人工干潟化のほうが先と主張し県に請願書を提出しています。全体の登録は難しい状況なので船橋地区だけでも登録しようという動きが出でいます。
更に第二湾岸道路の問題があります。東京・千葉間の交通渋滞解消のための新たな道路建設ですが、1997年45万7000台が2005年には42万1000台に交通量も減っているといった指摘もあり、貴重な三番瀬をつぶしてまでやる公共事業なのか疑問です。
これからの街づくりは生物多様性を維持し生態系ネットワ-クの中に人間の営みを作っていくことによってのみ経済成長も生活の豊かさも実現できる時代です。しかるに森田県政は生物多様性のプロジェクトを縮小し、三番瀬再生会議を12月には終了してしまいます。ラムサ-ル条約登録にむけた市民・県民の声が通る県議会・県政にしていきましょう。